日々のこと

日日食堂の建物の裏には色々な植物が自生しています。野生のセリや里芋、露草、桑の木、その他あしらいに使える葉っぱなんかも沢山育っています。背の高い子や背の低い子、自生している姿はひとつひとつ形も大きさも色さえも違います。あしらい用に幾つか摘んでいると、最初はかたちの綺麗なものをと選んでいたものが、段々とすべての姿に愛嬌を感じるようになり、そして最後には何も感じなくなります。ただ受け

黒むつの炙り、伊佐木、天然の真鯛のお造り。日日食堂では魚を仕入れてから最初にホースで血抜きをします。そして魚の頭と内臓を取り、お腹を洗った後に50度のお湯で表面をさっと洗った後、たっぷりと氷を入れた塩水で魚を締めた後に冷蔵庫でひと晩寝かせます。魚種や脂ののりで塩梅や寝かせる時間などは変わりますが、概ねこの様に下拵えをしています。--さて、前の料理長のちえさんは食堂で働き始めた当初、魚の生臭さが苦

日日食堂でお出ししている水出し珈琲の豆が新しくなりました。こんにちの日日食堂は以前の提供スタイルとは変わり、お昼も夜もコース形式となりましたので、当然流れが違うわけですから珈琲の占める割合もバランスも以前とは異なります。私が考える食後の珈琲は、食事の一貫です。最後まで弧を描くような美しい一本の線でありたい。どんな珈琲か。言葉で伝えるのは難しいのですが、苦味も酸味も立たない。でもしっかり焼かれた豆

うつわの向こうには作り手の姿が見えます。それは時に我々の背筋をしゃんと伸ばしてくれます。うつわの作り手の顔を思い浮かべながら料理を盛り付けていると「これくらい頑張ればいいか。」ではなく、気づけば「まだもっと良くなる。」という風に意識がかわってきます。うつわも料理も、流動的な変化をする「自然」という存在を摘み取ってひとの手によって加工するものです。どちらも表現するための技術

朝のこと

食堂の朝。毎朝お店に着いたら、すべての窓と扉を開けて、先ずは新鮮な大磯の空気を店内いっぱいに取り込みます。それから、お店の裏に自生している野草を摘み、テーブルにちょこんと添えます。一通りお店の掃除も終わってそれぞれが一息ついたところで、みんなでお茶を飲みながら朝のミーティングがはじまります。ミーティングでは、仕込みや料理の話からはじまり、仕事の中での気づき、日々の感銘を受けたこと、まちの

大磯のこと

大磯はいつだって僕にとって特別な場所です。文化的な香りや風土の素晴らしさ、そこで暮らすひとたちの自然体の暮らしから発せられる美しさも勿論ですが、そんなことよりも僕はいつもただこのまちにいるだけで幸せな気持ちになれます。日日食堂というお店をはじめてもう何年も経ちますが、大磯を好きな気持ちは日に日に募るばかりです。もしも願いが叶うならば、日日食堂は大磯と云う場所に在る「風景」の一部として自然に

TOP