#001─冬と春の境界線

去年の12月に作り始めたヒンメリ。
ゆっくりゆっくり組んでいき、春分の日に完成しました。

 

 

ただ形を作るのではなく、
ヒンメリひとつひとつに物語があると素敵だなぁと思っていて、
日日食堂や今古今に飾っているヒンメリもひとつひとつ思い描いているものがあります。

 

今日は春分の日に完成したこの子のお話を。

 

 

街にクリスマスの気配を感じ始める頃、
「そろそろ降るかな」と空を見上げることが増えてきます。
待ちに待った雪は、しんしんと降り積もり、
やがて大きな壁となり、一面を白一色の世界に変えてしまいます。
この雪の世界のヒンメリも今古今に飾っています。
冬のお話なのでこれは、また今度。寒くなる季節にしますね。

 

春が近づくにつれて、大きな雪の壁は水を含み、少しずつ溶けはじめます。
数ヶ月ぶりに見る土には、ふきのとうがひょっこり芽を出しはじめ、
溶けだした雪たちは、排水口をめがけ、小さな水路を作りはじめます。

 

 

夜の冷え込みで再び凍ったシャリシャリの雪も
太陽のヒカリでキラキラと。
あちらこちらでチラチラ流れる小さな水路も
太陽のヒカリでキラキラと。
 

雨も降っていないのに、街全体がしっとりとして、
太陽のヒカリでキラキラまぶしくなります。

 

白一色だった世界が春とともに優しく色づき始めるのです。

 

そんな中、見つけると嬉しかったのが冬と春の境目です。
溶けずに残っているの雪の氷の下を、
ゆっくり、ゆっくりと水が動きます。

 

氷の冬と、水の春。

 

氷の下で動く、その水は自分が感じている時間の流れと全く違うような気がして、
動きを見ていると、どんどんその世界に引き込まれていくような、不思議な感覚になりました。

 

そのゆっくり、ゆっくりと動く水の姿や、
ゆっくり、ゆっくりと流れる時間を、ヒンメリで表現したいな。
と、この子が完成したのです。

 

もう大磯は半袖で良いくらいな暑い日があったりと、季節は初夏へ向かっていますが、
私が小さい頃暮らしていた青森は、今ちょうど桜の咲く季節です。

 

今古今のどこかに、この子を飾っています。
私が感じた水と時間の流れをヒンメリで味わっていただけたらとっても嬉しいです。

 

ヒンメリ作家 さかまのぶこ